「あ・・・っついなあ」
「そうですね・・・、紫外線がすごい・・・。皮膚ガンになる」
「しかし、海は良い! 夏といえば海、だからな!」
 男二人で海・・・涼しい・・・・・・。
「さて、どうしましょうか? 先に言っておきますが俺は海に入りませんよ」
「何故だ。つまらん」
「俺は運が悪いらしく、足をつけると必ずと言っていいほどくらげを踏むんですよ・・・・・・」
「おお、くらげか。よし、私が捕ってきてやろう」
 何故だ? 俺がいつくらげを欲する素振りを見せた? ・・・だがしかし、兄さんがくらげを捕りに行くということは、俺一人でのんびりできるということだ。それには諸手を挙げて大賛成だ。
「いってらっしゃい」
「うむ。・・・しかし初一が一人でいると誘拐される恐れがあるな」
「ないですよそんな可能性。一体どんな目的で俺をさらうんですか」
「小さい子が好きな輩などがなあ」
 小さい子ってどこにいるんだ? 危ないなあ親御さんがついていなければ俺だよ! ・・・俺かな!?
「俺と兄さんは背も・・・年齢もあまり変わりませんよ」
「初一は可愛いからなあ」
「か・・・っ、かわっ・・・、俺は二十歳です」
「初一は小さくて可愛い」
「だから小さくないですって! 可愛くもないです」
「初一はよく私の後ろをついてまわってなあ。兄さん兄さんと・・・」
 ぶんがーぶんがー。あ、砂浜を掘って貝を探そう。
「手をつないでよく散歩したものだ。そして初一は何か見つけるとすぐに兄さん兄さん」
 お! みじんこもどき発見。お逃げお逃げ。
「夜怖い夢を見ると私にはりついて離れなかったなあ。そして兄さん兄さん」
 あーああーあーあー心の目を開くのです。
「そして誕生日には私の似顔絵を描いてくれて。その隣には申し訳程度の大きさの初一も描いてあって、さらに一言兄さん大」
 兄さんは波にさらわれた。



メニューに戻る